【 ”運命の出会い”が少女にもたらす変化とは】「アイネクライネ」の歌詞の意味を解釈【米津玄師】

音楽

誰もが1度は耳にしたことがあるであろう、米津玄師さんの「アイネクライネ」

すごくいい曲であるのはわかるけど、その歌詞の意味するところをしっかりと理解できているかと言われると、あまり自信がないという方も多いのではないでしょうか。

僕も初めは「どういうこと?」と疑問に思うところが多かったのですが、

何十、何百と聞いているうちに、少しずつですが米津さんがこの曲で伝えたかったことが理解できてきたような気がしています。

そこでこの記事では「アイネクライネ」の歌詞を徹底解釈し、そこに秘められた心動かされる物語に迫っていきたいと思います。

それでは早速いきましょう!

結論

出典:YouTube

この曲は「一人の少女がある男の子と出会い、変化を遂げるまでの物語」です。

「アイネクライネ」とはドイツ語であり、意訳すると「小さな少女」となるようです。

「弱く小さな少女」が何を抱え、それがどのように変化していくのか。

以下で歌詞を見ながら、詳細に迫っていきましょう!

「アイネクライネ」の歌詞の意味を解釈

冒頭

あたしあなたに会えて本当に嬉しいのに
当たり前のようにそれらすべてが悲しいんだ

今痛いくらい幸せな思い出が

いつか来るお別れを育てて歩く

この冒頭がなかなかの曲者です。

いきなり後ろ向きな言葉が連発されるため、ラブソングだと思って聴き始めた方は盛大な肩透かしを食らってしまいますよね笑

しかしここはこの曲を味わい深くするのに必要不可欠な部分になっています。

それではここからその歌詞の意味するところを紐解いていきましょう。

自分を好きになれず、認められない女の子

本来は喜ぶべき「あなたに会えたこと」「幸せな思い出」を心から認められず、

むしろそれらを失った未来のことを思って悲観的になる様子が描かれます。

なぜ彼女がこうマイナスに考えてしまうのでしょうか。

ここの部分は後に明らかになっていくので先を見ていきましょう。

1番Aメロ

誰かの居場所を奪い生きるくらいならばもう
あたしは石ころにでもなれたらいいな

だとしたら勘違いも戸惑いもない
そうやってあなたまでも知らないままで

「他人に迷惑をかけてまで、生きるようなことはしたくない」

自分自身に価値を感じることができず、自らの殻に閉じこもったような状態になっている様子が描かれます。

そしてせっかく見つけた「あなた」に対しても、自分から何も行動できないでいます。

自分を好きになれないでいる時、人は何をする気力も起きず、その場にうずくまってしまいがちです。

彼女がそのような暗い心理状態に陥っているのが「石ころにでもなれたらいいな」と表されているのが印象的です。

石ころなら何も考える必要がなく、誰の気に止められることもありません。

1番Bメロ

あなたにあたしの思いが全部伝わってほしいのに
誰にも言えない秘密があって嘘をついてしまうのだ

あなたが思えば思うよりいくつもあたしは意気地ないのに
どうして

好意を抱いている「あなた」に対して自分の心の内をありのまま伝えたいのだけれども、

自らのコンプレックスなど負の側面が気にかかり、なかなか事実や本心を打ち明けられない様子が描かれます。

そしてそんな自分がまた嫌になり、さまざまな疑問が頭に浮かびます。

  • 「どうしてあなたを好きになってしまったんだろう?」
  • 「どうしてあなたはこんな私を思ってくれるのだろう?」
  • 「どうしてその思いに素直に答えることができないのだろう?」

そんな思いが頭を巡る中、曲はサビへと進んでいきます。

1番サビ

消えない悲しみも綻びもあなたといれば
それでよかったねと笑えるのがどんなに嬉しいか

目の前の全てがぼやけては溶けてゆくような
奇跡であふれて足りないや

あたしの名前を呼んでくれた

サビでは、ここまでひたすら自分を追い詰めていた少女が、

一旦ようやく報われるような内容へとつながっていきます。

ありのままの自分を受け入れ、愛してくれる人との出会い

今までの人生で嫌ってきた自分の負の側面までをも「それでよかったね」と肯定し、寄り添ってくれる「あなた」

この時の少女はどれほど嬉しかったのでしょうか。

そんな「あなた」に出会えた嬉しさのあまりに涙を流す時の感情が

「目の前の全てがぼやけては溶けてゆくような、奇跡であふれて足りないや」と表現されています。

「あたしの名前を呼んでくれた」

人間が最も好きで愛着を持っている言葉が「自分の名前」なのだそう。

そんな名前を大好きな人から呼んでもらえた時の喜びは一体どれほどのものなのでしょうか。

ここでは「呼んでくれた」と受動的な姿勢が描かれている点にも注目です。

この表現が後々に効いてきます。

2番Aメロ

あなたが居場所を失くし彷徨うくらいならばもう
誰かが身代わりになればなんて思うんだ

今 細やかで確かな見ないふり
きっと繰り返しながら笑い合うんだ

一度は報われた少女がもう一度ネガティブな感情に囚われてしまいます。

なぜまたこうなってしまったのか、続きを見ていきましょう。

大切なものが近くにあるからこそ、見えてくる自分の醜さ

「”あなた”のためならば、他の誰かが犠牲になってもいい」

という少し恐ろしい気持ちが少女に芽生え始めます。

そんな自分の醜い部分に気づきながらも「あなた」のためならば、

そのことに気づかないふりをしたまま、今の幸せな状態を続けさせたいという心情が描かれます。

2番Bメロ

何度誓っても何度祈っても惨憺たる夢を見る
小さな歪みがいつかあなたを呑んでなくしてしまうような

あなたが思えば思うより大げさにあたしは不甲斐ないのに
どうして

先述の自分の中に生まれた負の感情に気づきながらも、それに対して見ないふりをし続けた少女。

その無理がたたり、自分の負の側面が「あなた」との関係を飲み込み、壊してしまうのではないかと不安になってしまいます。

そしてそんな自分が嫌になり、再び自己嫌悪に陥ってしまう様子が描かれます。

2番サビ

お願い いつまでもいつまでも超えられない夜を
超えようと手をつなぐこの日々が続きますように

閉じた瞼さえ鮮やかに彩るために
そのために何ができるかな

あなたの名前を呼んでいいかな

暗闇の中も「あなた」と一緒なら乗り超えていける

自己嫌悪から生じる暗がりも「あなた」となら、たとえそこに苦しみが生じたとしても、置かれた状況をより良くするために共に頑張っていくことができる

というある種の安堵や覚悟のような気持ちを全体から感じることができます。

また1番の受動的な表現から、「何ができるかな」「呼んでいいかな」と能動的な表現へと変化していることがわかります。

これは少女の内面で自分が認められず塞ぎ込んでいたのが、全てを肯定してくれ、これからを一緒にする「あなた」の存在により

自分から行動していく勇気や決意のようなものを得ることができたのを表しているように読み取ることができますよね。

Cメロ

産まれてきたその瞬間にあたし
「消えてしまいたい」って泣き喚いたんだ

それからずっと探していたんだ
いつか出会える あなたのことを

米津さんの曲では、Cメロにその曲の核心部分が置かれることが多いです。

ここでは、冒頭の自己嫌悪の様子が思い出されます。

もともとは自分を認めることができず、生きることにも否定的だった少女。

そんな彼女が自分をありのまま肯定してくれる「あなた」に巡り会えることを、始めの始めから望んでいたことが明らかになります。

何か運命的なものを感じさせてくれるような歌詞になっていますよね。

そして曲はラストのサビへと繋がっていきます。

ラスサビ

消えない悲しみも綻びもあなたといれば
それでよかったねと笑えるのがどんなに嬉しいか

目の前の全てがぼやけては溶けてゆくような
奇跡であふれて足りないや

あたしの名前を呼んでくれた

あなたの名前を呼んでいいかな

ほぼ1番のサビと同じですが、注目は追加されているラストの一節である

「あたしの名前を呼んでくれた あなたの名前を呼んでいいかな」

ここを繋げて読むことで、自分に寄り添ってくれ、変化をもたらしてくれた「あなた」に対し、

「今度は自ら呼びかけていこう」とする姿勢の変化 

を読み取ることができます。

かつては助けを待つばかりで受け身だった彼女が、

「あなた」に対しては、自分からちゃんと行動を起こそうとするようになります。

「あなたとの出会い」は少女に内面的な変化をもたらしてくれたということがわかります。

運命の相手との出会いにより、何もかも大きく変わった少女の話でした。

まとめ

今回は米津玄師さんの「アイネクライネ」の歌詞を解釈し、そこに秘められた物語を紐解いてきました!

「アイネクライネ」=「小さな少女」

曲名の通り「一人の少女がある男の子と出会い、変化を遂げるまでの物語」

を描いた一曲でした。

自分の負の側面をも含め、ありのままをすべて受けいれてくれ、共にこれからの人生を歩んでくれるようなパートナーとの出会い。

そんな出会いの素晴らしさを感じさせてくれると共に、それに憧れずにはいられないような気持ちにさせてくれるような美しい楽曲ですよね。

この記事が、皆さんが「アイネクライネ」をより深く味わい、心動かされる体験をするきっかけとなれば幸いです!

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自然が多い田舎で日々文章を書いて暮らすデカい男(Z世代)

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