「茶道」と聞くと、
着物を着た人々が和室で抹茶を飲む会というイメージを持つのではないでしょうか。
たしかにこのような面もありますが、ただそれだけでは全く収まらないのが茶道なんです。
茶道は、日本人のアイデンティティや文化に大きな影響を与えているとも言われています。
身近な住居や衣服にとどまらず、芸術の面でも陶磁器、絵画、文学など、その根底には茶道の精神が宿っているのだとか。
そんな私たちとは切っても切り離せない関係にある茶道ですが、その根底には毎日に活かせる気づきがある教えすらも隠されています。
そこで今回は、茶道の中から日常生活でも役立つような考えや精神をご紹介していきたいと思います!
茶道に関心があるだけでなく、そこから日々に活かせるような気づきを得たいという方にぜひチェックしていただきたい内容です。
それでは早速いきましょう!
「茶道」の精神や教えを簡単に
「侘び寂び」
この言葉自体は、一度は聞いたことがあるという方も多いはず。
茶道の精神を表すものの中でもとりわけ有名な言葉です。
「侘び」とは、質素なものの中にこそ美しさを見出そうとする姿勢。
「寂び」とは、変化し移ろいゆく中に価値を見出そうとする精神のこと。
私たちは豪華絢爛なものに目を奪われてしまいがちですが、一見軽視しがちな素朴でありふれたものの中にこそ「美」が隠れていることも多いです。
また私たちは、年月が過ぎて変わってしまうこともネガティブに捉えてしまいがち。
時の経過と共に変化していくことは避けられないものであるため、これらを受け入れた上でそこに良さを見出した方が建設的かつ精神的にも健康でいられるものです。
ここには諸行無常をはじめとする仏教の考えと通ずるものを感じることができます。
「侘び寂び」の精神には、普段意識しなくては見落としてしまいそうなものにまで目を向けさせてくれる力があります。
「不完全の美学」
不完全を受け入れ、そこに美しさを見出すことを大事にするのも茶道の精神の特徴的な点です。
製作者による主張や自己表現に重きを置き、そこに他者の一切の干渉を許さない「完全な美」を追求することこそが西洋の美意識である一方、
あえて「虚」という空白を残すことで、鑑賞者の想像力に委ねて解釈の余地を与える。製作者と観る者の二人の共同作業で作品を完成させることに重きを置くのが茶道の精神性です。
「バーン!」と製作者の主義主張を見せつけるのも大事ですが、仲間やパートナーと共に同じ対象に当たることで、結びつきや充実感を一緒に得ることができたりもしますよね。
またこれは人間的な面にも当てはめることができたりもます。
完全無欠で付け入る隙がない人物よりも、どこか欠けている所があって「自分が補ってあげないと!」
と思わせる人物像の方がかえって好印象を与えることができたりするもの。
「不完全の美学」は芸術においてだけでなく、こうした人間性を考える上でも気づきを与えてくれます。
和敬清寂
茶道の根本となる精神であり、かの有名な千利休が唱えたのがこの「和敬清寂」という精神。
「和」関わる人と仲良く調和をもたらすように努め
「敬」そこに敬意を持つことを忘れない
「清」周りの環境や心の中を清らかな状態に保ち
「寂」心穏やかに静かな世界観を作る
茶会において、これらを意識することが大切であると利休は考えました。
ここから良い人間関係には互いが歩み寄り、リスペクトを忘れないことが大事であるということ。
またどこか神々しさすら感じさせるような、お互いが心からの落ち着きを持てる関係を目指すことの大切さが説かれています。
これらが身の回りの環境を整えた上で、それぞれの内面へと焦点が当たっていく点にも注目したいところ。
「人間は環境の生き物」ともよく言われますが、このことにも改めて気付かせてくれるのが「和敬清寂」という精神です。
一期一会
まったく同じものが訪れない日々、もう二度とないかもしれない出会い。
こうしたものを大事にしようとする姿勢が現れているのが、この「一期一会」
茶道では、訪れる相手のこれまでの人生や趣味にその時の状態など、あらゆる要素を鑑みた上でおもてなしを行います。
これも「一期一会」の精神がその根底にあるから。
私たちは普通に生きていると、毎日を意識せずに流すようにして生きてしまいがち。
「自分の人生こんなはずじゃなかった…」
なんとなくで長い時間を過ごしてしまった後でこう嘆くことを防ぐためにも、目の前で起こる全ての出来事や出会いを大切にしていきたいものです。
「一期一会」は、改めてそんなことに思いを馳せるきっかけを与えてくれます。
日日是好日
これは「にちにちこれこうじつ」と読み、直訳すると「毎日が良い日」
これだけ聞くと、すごい楽観的でどこかアホっぽくすらも感じてしまいますよね笑
しかしこの言葉にも毎日の中で起こる一つ一つの出来事に、もう一度目を向けたくなるような意味が込められています。
忙しい私たちはついつい忘れがちですが、一日一日を意識して大事に丁寧に過ごすことで初めて、その中に潜む小さな幸せや喜びに気付けるものです。
また私たちは遠くの目標を必死に追いかけることにも躍起になりがちですが、その一方で身の回りにある豊かさに目を向けることを忘れてしまいがち。
そのことに気づかせてくれ、本当は素晴らしさに満ちている日常の捉え方を変えてくれるような言葉です。
この言葉を覚えておけば、毎日の捉え方が少し変わるかもしれません。
まとめ
今回は、日常生活に活かせる茶道の教えや精神について紹介させていただきました!
茶道には、私たちの考え方を改めてくれるような力を秘めた教えが非常に多くあることに気付かされます。
日本ならではのもので独自性のある精神の数々。
日本人である以上、押さえておいて損はないものであると言えるでしょう。
むしろグローバル化が進む中では、かえってこうしたものに今一度目を向けてみることにこそ価値があるのかもしれません。
少しでも興味を持ったという方は本や作品などにも触れて、さらに茶道についての理解を深めていただければと思います!
きっと精神的な面において、大きく人生の役に立ってくれること間違いなし。
この記事が、皆さんが茶道の教えや精神に触れて、毎日を少し違った角度から見ることができる一つのきっかけとなれば幸いです!
参考文献。