誰しも一度は名前を聞いたことがあるであろう老子。
古代中国の哲学者で中国三代宗教の1つ、道教を説いた人物です。
この老子の教えには現代を生きる我々にとって、それまでの価値観をガラリと変えてくれるような非常に大きな力があります。
現在巷で出回っている自己啓発書の多くも、元を探ればこの道教にたどり着くということも珍しくありません。
それだけ今を生きる私たちにも新鮮な気づきを与えてくれる力があります。
そこで今回はそんな老子の教えである道教の内容で、政治などは外して特に人生に役立つと感じたものをまとめてみました!
- 現状に生きづらさを感じている
- 何にも縛られず、自由に生きていきたい
- より良い人生について考えたい
そんな方にぜひチェックしていただきたい内容です。
それでは早速いきましょう!
老荘思想を簡単に
⒈ 無為自然
老子の教えの中でも、中核となるのがこの「無為自然」という考え方です。
これは簡単に言ってしまうと「ありのままで、自由に生きよ」という主張になります。
「自分が好きなようにやりたいことをやって生きていくのが、人間にとって最もふさわしい生き方である。世の中の多くは成功や出世に囚われすぎている」と老子は言います。
名誉や他者からの評価は追い求めると、キリがありません。
どこまで行っても上には上がいて、いつまでも他人と終わらない競争をする羽目になり、心から満たされ「幸せ」を感じることがとても難しくなってしまいます。
老子はこの状態に陥ることを避けるため、そうした他者中心の欲を捨て、なすがまま自然に生きていくことを主張します。
自分が好きで心から関心があることを、人生を通じて極めていく。
そこには損得勘定や他人の目は関係ありません。
そうして好きで突き詰めたことは、いつかどこかで誰かの役に立つとも老子は言います。そして「大器晩成」することができると。
「好きなことで生きていく」
というのが流行りつつある昨今ですが、老子は2000年近くも前からこの生き方を推奨していたことに驚かされます。
ありのままを活かす
またあくまでありのままで生きることが重要であるため、自らを無理に変化させようとすることを否定しています。
人と話すのが苦手だったり、細かいことに注意を向けるのが苦手なことを無理やり直そうとするのではなく、
むしろそれを自らの特徴と捉え、ありのまま活かすことに重きをおくべきだと老子は解きます。
何事の捉え様によっては良くも悪くもなるというのが世の常です。一見マイナスに見えることにも必ず活かし方や活かせる環境というものが存在します。
人と話すのが苦手だったら一人で黙々と作業することができたり、細々したことが苦手だったら大きな発想ができたりするもの。
このようにあくまで自分の内面に目を向け、自らの気持ちに素直に毎日を生きていくことが大切であるというのが老子のいう「無為自然」です。
以下ではこの無為自然の大切さを感じられたり、内容を補ってくれる老子の他の教えを見ていきましょう。
⒉ 足るを知る
皆さんは「自分がどうなれば幸せなのか」について考えたことはあるでしょうか?
この問いを考える上で1つの指針になってくれるのが老子の「足るを知る」という言葉です。
成功や贅沢には限界というものがありません。
どれだけお金を稼いで、どれだけ良い暮らしをしようとも、必ずその上を行く人というものが存在します。
幸福度という観点からも、年収800万円までは一律に幸福度に正の相関関係が見られるが、それ以上になると、幸福度はあまり変化しなくなるということが研究で明らかになっています。(DIAMOND online)
そうであるならば、今置かれた現状に目を向け、その中に自分が幸せを感じるものをしっかりと見出し、それを大切にしながら生きていくことが重要になります。
幸せは意外と身近な所に転がっていることが多いです。
「いつかいつか」と将来の幸せを追い求めるよりも、目の目にある現在の幸せに目を向けることの大切さを教えてくれるような教えです。
⒊ 和光同塵
これは才能ある人はそれをひけらかすのではなく、隠して目立たないように生きるべきだということを説いた言葉です。
自らの力を誇示しない謙虚さの大切さを教えてくれると同時に、成功や名声の弊害についても考えさせられます。
成功すると、他者からの嫉妬や妬みの対象になることは避けられません。
また成功に伴う煩わしさやその状態を維持するためのエネルギーが生じてしまいます。
老子はこれらを避けるため、名誉や権力を求めるのではなく、慎ましくかつ自由に生きることの大切さを説きました。
一見良いイメージしかない成功を、捉え直すきっかけとなり得るような教えです。
⒋ 上善水の如し
最高の善は、水のように万物に恵みを与えながら、他と争わずに形を変え、自ら低い位置に行くことを説いた言葉です。
水は全ての生物にとって必要不可欠なものでありながら、定まった形や強さを持ちません。
それでありながら、時には固い岩にも穴を開ける力があります。
「柔能く剛を制す」という言葉もありますが、これも実は老子のものです。
一見弱くて頼りにならなそうなものほど、実は内に強さを秘めているものであり、
そういった存在になることこそが良い人生を送る上で大切であることに気づかせてくれる言葉です。
⒌ 有無相生
「有」と「無」は互いの存在があって初めて成り立つものであることを説いた言葉です。
物事を多角的に見ることの大切さに気づかせてくれます。
何か不幸が身に降りかかった際、多くの人はそんな自分を憐れみ、その状況を憎んでしてしまいます。
しかしその不幸が後で見たら、実は幸せをもたらす契機であるということは往々にしてあります。逆もまた然り。
よって現在の状況を良い、悪いと判断することは実は無意味なことであると言えます。
善と悪が表裏一体であるように、全ての物事は捉え方一つでその意味合いを大きく変えます。
自分勝手に物事への良し悪しの判断を下し、気を病んでしまうことの愚かさを感じさせてくれるような教えです。
まとめ
今回は、老子の教えである道教の内容を紹介させていただきました!
この教えは世間で当たり前とされている価値観からは一線を画したものであることを感じていただけたでしょうか。
老子の教えには今を生きづらいと感じる人の気持ちを楽にして、前を向かせてくれる力があります。
生きづらさを感じたり、人生の方向性に迷った時に何度も読み直したくなるような内容ですよね。
今回の内容に面白みを感じた方は、ぜひ「老子」の原書も読んでみて頂きたいです。
今回お伝えできなかったさらなる老子の考えに触れることができ、理解を深めることができること間違いなしです…
この記事が皆さんの価値観や世界を広げて、ほんの少しでも肩の荷が降りたように感じ、自分らしくより良い人生を送るきっかけになれば幸いです!
参考文献。