【忙しない現代人にこそ響く】ふっと楽になる エピクロス”快楽主義”の役立つ教え【名言も】

哲学・思想

古代ギリシアの二大哲学思想の一つであるエピクロス派

2000年前以上の考えですが、その思想は現代を生きる私たちにも通じ、非常に有益なものが多いです。

とりわけエピクロスの考えは中国の老荘思想や最近流行りのミニマリズムと共通点が多いのが特徴的。

どことなく毎日が不安で、満足感をなかなか感じられないまま日々を過ごしがちな我々現代人が今こそ知っておきたい思想です。

そこで今回は、そんなエピクロス派の概要と現代の我々にも活かせる考えをピックアップしてご紹介したいと思います!

  • 毎日、言いようのない不安に襲われている
  • 「幸せな人生」について考えたい
  • 新しい世界の見方に触れたい

そんな方にぜひチェックしていただきたい内容です。

それでは早速いきましょう!

エピクロスの核となる「快楽主義」とは

「快楽主義」とは、エピクロス派の教えを端的に表した言葉です。

「快楽」と聞くと、食欲や性欲といった人間の欲望を想像される方が多いかもしれません。

しかしエピクロスの説く「快楽」とはそういったものではなく「心の平穏」とも言い換えることができます。

エピクロスはこれを「アタアラクシア」と呼びました。

ストレスや不安などの負の感情から解放され、常に幸せを感じてノーストレスに生きていくことを目指していくとも言い換えられます。

エピクロスはそうした精神的な安らぎや静かな充実感こそが、より良い人生を送る上で必要不可欠であると考えたというわけですね。

以下ではそんな「快楽主義」の中でも、特に今の私たちにも有益でタメになるような考えを紹介していきたいと思います。

本来はなかなか小難しい内容ですが、なるべくわかりやすくして見ていこうと思うのでお付き合いいただければ幸いです。

それでは早速行きましょう!

現代で活かせるエピクロスの教え

必要最低限で生活する

これは今の「ミニマリズム」にも共通する考え方ですよね。

エピクロスは多くを求めず、自分にとって必要最低限の暮らしぶりで生活することが、人生をより良く過ごす上で重要であると考えました。

その上でエピクロスは人間の欲求を以下の3つに分類します。

  1. 自然かつ必要な欲求(衣食住、健康、人間関係)
  2. 自然だが不必要な欲求(豪華な食事や住居、性愛など)
  3. 不自然かつ不必要な欲求(富、権力、名声)

この中でも①の欲求を満たすことを重要視します。

逆に言えばこの①を満たさずして、良い人生はありえないということ。

自然かつ必要な欲求を満たせる最低限の生活を送ることが「幸せな人生」を送るのに、最もコスパが良い方法であるとエピクロスは考えました。

最低限な質素な生活を送ることで得られる2つのメリット

⒈ 当たり前、小さなことにも幸せを感じることができるようになる

日頃から最低限で質素な生活を送ることで、日常の小さなことに幸せを感じることができます。

毎日当たり前のように摂る食事も極限までお腹が空いた状態で食べると、そのありがたみや美味しさは普段の何倍にも膨れ上がります。

最低限の生活を送ることでそういった状況を自発的に作り出し、毎日の生活の中に確かな充足感を感じることができるようになるんですね。

⒉ 「贅沢」からより幸せを感じることができるようになる

エピクロスは②の欲求に代表されるような「贅沢」を否定しているわけではありません。

むしろ適度な贅沢は人生をより良くしてくれると考えていました。

高級レストランの料理や三ツ星ホテルのお部屋なども、それが当たり前になってしまうと幸せを感じにくくなってしまうのが人間の恐ろしいところです。

“幸せ”に慣れて「もっと良いものを、もっと良いものを…」と無限ループに陥ってしまいまうんですね。

普段は最低限の生活を送りながら、たまに羽目を外して贅沢をする。

これにより“幸せ”をより深く感じることができ、人生に彩りを与えてあげることができるようになります。

「快」と「不快」を比較衡量する

「快楽」を大事にするエピクロスも常に「楽な方、楽な方」へと行くことを肯定しているわけではありません。

今得られる「快」と「不快」

将来に得ることになる「快」と「不快」

「これら2つをしっかりと考慮した上で、目の前のとるべき行動を決めるのが良い」

とエピクロスは言います。

今だらけてYouTubeの動画を見ることと、その欲求に耐えて自己投資となる勉強や運動をするべきかを考える際、

将来の利益を考えると後者の選択をする方が望ましいとなるわけです。

目先の快楽を貪るだけでなく、未来を見据えた上で本当の「快楽」を追い求めることがより良い人生を送るためには重要です。

「まだ見ぬもの」に怯えない

エピクロスは「死の恐怖」を克服するべきと説きました。

「まだ訪れてもいないもの、また誰も語ることができないものをあらかじめ不安に思い、恐怖することほど無意味なことはない」

とエピクロスは言います。

この考え方は「死」以外でも、人生の様々な事象を考える上でも当てはめることができます。

まだ何もやっていないのに始める前から怖がってしまうといったことは、誰しも一度はありますよね。

それは夢や仕事に恋愛など、人によって様々でしょう。

そんな「まだ見ぬ未来」に不安や恐怖を感じた時に、エピクロスのこの考え方を思い出すことで、思い切って前へ踏み出すきっかけとなってくれます。

「どうするかは実際に行動してみてから考えればいい」

とある種ポジティブで楽観的なものの見方ができるようになれればこっちのものです。

「隠れて生きよ」

エピクロスの言葉の中でも、特に有名なのがこの「隠れ生きよ」です。

一見、俗世間から離れて出家僧のように生きることを勧めているようですが、実際はそうではありません。

これまでの内容を踏まえた上で、

「世間のしがらみに囚われず、自分の本当に好きな人たちと心からやりたいことをして時間を過ごすべきだ」

というのがエピクロスの言う「隠れて生きよ」です。

人間関係と他者貢献

そんな中でも忘れてはいけないのが、この「人間関係」と「他者貢献」の二つ。

友人や恋人などとの人間関係は「幸せ」に必要不可欠です。

私たち人間はあくまで社会的な動物であるため、人とのつながり無しに充実した人生を送ることができません。

やはり喜びや悲しみを共に分け合える存在というのが、生きていく上でとても大事なんですね。

たしかに、これから先ずっと一人で生きていかなければいけない未来は想像するだけでもゾッとするようなものがあります…

また他者に貢献することも、人間のこうした社会的な性質を満たすのに必要不可欠です。

「自分がもらってばかりで、自分だけが楽しい」

だけでは心から満たされないのが、人間の複雑かつ面白いところでもあります。

自分が提供できる価値を他者に与え、その人に貢献できているという実感が、

実は相手だけでなく自分にも「幸せ」をもたらしてくれるんですね。

当のエピクロス本人は山の中に小さな学校を作って、大好きな教え子たちに大好きな哲学を教えたり、一緒に学び合いながら死ぬまで過ごしたのだそう。

ここには「幸せな人生」の一つの答えがあったと言うことができるのかもしれません。

まとめ

今回は、エピクロスの教えの概要と現代でも活かせるような考えを紹介してきました!

2000年前の遠く離れた地にいた人物の思想でも、現代の私たちに気づきをくれるような非常に有益な考えをもたらしてくれます。

これは人間は長い歴史において多くの文明や技術を築いてきましたが、当の人間本体の中身はあまり変わっていないということの証明とも言えるでしょう。

先人たちが人生を通じて考え抜いた哲学を吸収し、自らの人生に活かすことができれば、より良い人生を送る可能性を高めることができます。

そんな教えの一つであるエピクロスの快楽主義を、苦しさを感じた時に何度でも振り返りながらこれからも日々を生きていってもらえればと思います。

この記事が、皆さんに何らかの気づきを与え、心を軽くして毎日を過ごし、より良い人生を送る一つのきっかけとなれば幸いです!