【閲覧注意】読むと心をえぐられる小説3作品【現代日本と19世紀フランス】

文学・小説

小説は時に、読者を深い感情の底に引きずり込む力を持っています。

物語の中で描かれる苦悩や厳しさは、より一層読む者の心を動かし、考えさせられることとなります。

やはり登場人物の実際の苦境や心情が乗ってくるので、単にニュースや書籍を読むのよりも破壊力があるのでしょう。

今回は、そんな読んでいてつらくなるかもしれないが、その分だけ深い感動や考察をもたらすいくつかの小説3作品を紹介します。

心の準備を整え、物語の世界に身を委ねましょう。

心を抉る小説3作品まとめ

護られなかった者たちへ

佐藤健さん主演で映画化もされた中山七里さんの「護られなかった者たちへ」

現代日本における貧困とそれを救うための生活保護の機能不全という、日本の社会問題を絡ませた「社会派ヒューマン・ミステリー」です。

貧困に苦しみながらなんとか命を繋いでいく人々の生活の様子が描かれる場面は、読んでいて胸をえぐられるほどに辛く苦しい描写になっています。

読んだ後はなんとも言えない感情に浸り、考えさせられること間違いなしの一冊です。

夜が明ける

作者の西加奈子さん自身も「書きながら、 辛かった」と語る「夜が明ける」

思春期から33歳になるまでの二人の男の人生が、それぞれ交互に入れ替わりながらの形式で描かれます。

この作品では現代日本に存在する若者の貧困、 虐待、 過重労働から、人間の「極限状態」をまざまざと目にすることができます。

それらの事実が、読んでいて他人事のように感じられないようになること間違いなしの一冊。

今の日本を語る上で、決して目を背けてはいけない側面がそこにはあります。

ゴリオ爺さん

バルザックの代表作「ゴリオ爺さん」

19世紀のフランス文学における傑作です。

この作品の特徴は「圧倒的な父の愛」

ゴリオ爺さんは貧しい老人としての哀れさと、父親としての愛情と献身が混在するキャラクターとして描かれます。

これがバルザックの詳細な心理描写により描かれるため、読んでいてその苦悩と葛藤をこれでもかというほど感じられます。

父親というものは自らの子供のために、ここまで自らを捧げることができるのかということを痛いほど突きつけられます。

この作品を読んだ後は、自分のお父さんの見方が変わること間違いなしです。

まとめ

今回は、読んでいて心を抉られる小説3作品を紹介してきました。

物語の中で味わうつらさは、同時に深い共感や理解をもたらすことがあります。

そして現実の辛さや不条理、読む者に深い感慨を呼び起こします。

ただ考えるだけではその惨たらしい現状は変わらないのかもしれません。

しかし、まず「知る」ということ無しには何の行動一つも起こせないというのもまた事実です。

社会の凄惨な事情を知った上でどう考えてどのような行動をとるのか。これの作品はそんなことを考える上で大きな助けの一つになってくれます。

精神的に余裕がある時に読んでいだたければと思います。

この記事が、皆さんが心動かされながらも考えさせられる経験をする一つのきっかけとなれば幸いです。